長年趣味としているガーデニングは、私に土の香りと花々の彩りという豊かな癒やしを与えてくれますが、その一方で、私の庭は刺す虫たちとの領土を巡る終わりのない、しかし極めて理性的な攻防戦の舞台でもあり、毎朝のパトロールは自分と彼らの境界線を再確認する神聖な儀式となっています。春先に薔薇の若葉が芽吹く頃、最初に現れるのはおとなしい性質の持ち主であるアシナガバチですが、彼女たちが物置の裏や換気扇のフード内に最初の数個の育房を築き始めた際、私はそれを「自然の配置」として受け入れるか、あるいは「安全のための撤去」を選択するかという厳しい決断を迫られますが、生活動線の邪魔にならない場所であればあえて温存することで、庭の青虫を食べてくれる益虫としての恩恵を享受しつつ、適切な距離を保つ共生の道を探っています。しかし、梅雨明けとともに勢力を増すのが通称「電気虫」と呼ばれるイラガの幼虫であり、彼らが柿の木の葉の裏にびっしりと並んで鎮座する光景は、私にとっては宣戦布告に他ならず、あの美しい緑色の体から放たれる目に見えない毒棘に触れた瞬間の、脳を貫くような衝撃的な痛みを知っているからこそ、私はピンセットと粘着テープを手に、一匹ずつ丁寧に「排除」するという地道な戦いを挑んでいます。また、庭の隅にある湿った落ち葉の下はムカデの潜伏拠点となっており、彼らが夜の静寂に乗って室内に侵入しようと試みる気配を感じるたびに、私は家の基礎周りに忌避効果のある薬剤のラインを引き、物理的・化学的な防衛線を強化していますが、これは敵への憎しみではなく、愛する家族を守るための主権者としての義務であると考えています。刺す虫たちの存在は、私の庭が健全な生態系を維持していることの証左でもありますが、それを手放しで喜べるほど現実は甘くはなく、私は日々、ハッカ油のスプレーを身に纏い、厚手のグローブ越しに土を弄りながら、彼らの発する微かな警告音や羽音に耳を澄ませ、調和を乱さないための「最小限の介入」を繰り返しています。この攻防戦を通じて私が学んだのは、自然は決して征服の対象ではなく、その厳格な掟を理解し、お互いのテリトリーを侵さないように細心の注意を払うことで初めて、真の平安が得られるということであり、刺す虫という隣人たちは、私に「生を営むことの厳しさと尊さ」を教えてくれる貴重な存在でもあります。今日も私は、キンモクセイの香りと不気味な羽音が混じり合う庭で、一振りのハサミと確かな知識を武器に、自分だけの楽園を美しく、そして安全に維持し続けるための静かな闘志を燃やしているのです。
私の庭を襲う刺す虫たちとの静かなる攻防戦