毎年、梅雨の時期になると、庭やベランダがナメクジの楽園と化してしまう。そんな悩みを抱えている方は、少なくないでしょう。駆除しても、駆除しても、雨が降るたびにどこからともなく現れる、あの忌まわしい姿。この終わりのない戦いに終止符を打つためには、目の前のナメクジを退治するだけでなく、そもそも彼らが「この庭には、住みたくない」と感じるような、予防的な環境づくりが何よりも重要です。ここでは、ナメクジを寄せ付けないための、庭づくりの秘訣をいくつか紹介します。ナメクジ対策の最大のキーワードは、「乾燥」と「隠れ家の排除」です。彼らは、湿気がなく、身を隠す場所のない、開けた場所を非常に嫌います。まず、庭全体の「風通し」を良くすることを心がけましょう。植物を植える際は、株と株の間隔を十分に空け、葉が密集しすぎないようにします。定期的に枝や葉を剪定(せんてい)して、風と光が株元まで届くようにすることで、地面が乾きやすくなり、ナメク-ジにとって居心地の悪い環境を作ることができます。次に、彼らの「隠れ家」を徹底的に排除します。庭の隅に積んだままの、使っていない植木鉢やプランター、あるいは放置されたブロックや板、そして刈り取ったままの雑草の山。これらは全て、昼間のナメクジたちにとって、最高のシェルターとなります。家の周りや庭は常に整理整頓し、不要なものは処分するか、地面から離して収納するようにしましょう。特に、家の基礎の周りに、直接物が接している状態は、彼らが家の中に侵入する足がかりともなるため、避けるべきです。また、植物の選び方にも一工夫を。一般的に、ナメクジは、アジサイやホスタ(ギボウシ)、あるいはキャベツやレタスといった、葉が柔らかく、水分を多く含む植物を好みます。一方で、ローズマリーやラベンダー、ミントといった、香りの強いハーブ類や、葉が硬く、毛羽立っているような植物は、比較的被害に遭いにくいと言われています。これらの植物を、ナメクジに狙われやすい植物の周りに植える「コンパニオンプランツ」として活用するのも、有効な戦略の一つです。これらの地道な環境改善を続けることが、薬剤に頼らず、ナメクジとの平和的な棲み分けを実現するための、最も確実な道筋となるのです。
ナメクジを寄せ付けない庭づくりの秘訣