あれは梅雨明けの蒸し暑い夜のことで、ようやく一日の家事を終えようと洗濯機から洗い立てのタオルを取り出していた時の出来事でしたが、指先に触れたタオルの柔らかな感触の中に、突如として「カサリ」という硬質な違和感が混じり、次の瞬間に私の視界を横切った黒い影の正体を認識したとき、私の全身には氷水を浴びせられたような戦慄が走りました。脱水まで終わったはずの洗濯物の中から、体長三センチメートルはある巨大なクロゴキブリが這い出し、私の腕を掠めて洗面台の裏へと消えていったのです。清潔であるはずの洗濯機の中からなぜ不浄の象徴が現れるのか、その不条理な現実に私はパニックになり、その夜は洗い直したはずの衣類すべてが汚染されているような錯覚に陥り、一睡もできずに懐中電灯を片手に洗濯機周りを点検し続ける羽目になりました。よく調べてみると、私が節電のために洗濯機の排水ホースを排水口に差し込んでいるだけの状態で、隙間をそのままにしていたことが最大の失敗であり、下水から上がってきた奴がホースを伝って洗濯槽の裏側の暗闇に住み着いていたことが判明したのです。あの夜の遭遇は、私に住宅管理における「空気と水の動線」を完璧に制御することの重要性を教えてくれた残酷な授業であり、翌朝一番で私はホームセンターへ走り、隙間を埋めるパテと強力な洗濯槽クリーナーを買い込み、我が家の「洗濯要塞化作戦」を敢行しました。洗濯槽の裏側から出てきた黒い汚れの塊と、そこに潜んでいたかもしれない予備軍の存在を想像するだけで激しい自己嫌悪に襲われましたが、徹底的な洗浄と物理的な封鎖を終えたとき、私はようやく自分の家に対する主権を取り戻したことを実感しました。今では毎晩、洗濯機周りの床をアルコールで拭き上げ、ホースの接合部を一ミリの狂いもなくチェックすることが私の神聖なルーチンとなっていますが、それはあの夜の絶望を二度と繰り返さないための私なりの誓いでもあります。洗濯機は家の中で最も清潔であるべき場所だからこそ、その裏側に潜む闇に対して誰よりも敏感でなければならないのだということを、私はあの一匹のゴキブリとの死闘を通じて身をもって学び、今ではその教訓を胸に清々しい毎日を過ごしています。
洗濯物と一緒に現れたゴキブリの衝撃