ねずみのふんを発見した時、その不快さから、ほうきで掃いたり、掃除機で吸い込んだりして、一刻も早く視界から消し去りたいという衝動に駆られるかもしれません。しかし、その行動は、ふんに含まれる病原菌やウイルスを、家中に撒き散らしてしまう、最も危険で、間違った対処法です。ねずみのふんは、単なる汚れではなく、感染症のリスクを伴う「危険物」として、正しい手順に基づいた、徹底的な清掃と消毒が不可欠です。安全かつ効果的に掃除を行うための、正しいステップを解説します。まず、掃除を始める前に、必ず「万全の準備」を整えてください。使い捨てのゴム手袋と、高性能なマスク(N95マスクなどが理想)を着用することは必須です。これは、ふんや、それが乾燥してできた粉塵を、直接吸い込んだり、肌に触れたりするのを防ぐためです。準備ができたら、いよいよふんの除去にかかります。絶対にやってはいけないのが、乾燥したふんをいきなり掃いたり、掃除機で吸ったりすることです。有害な粒子が空気中に舞い上がってしまいます。まずは、市販の塩素系漂白剤を薄めたもの(家庭用漂白剤と水を一対十の割合で混ぜる)か、あるいはアルコール除菌スプレー(エタノール濃度が七十パーセント以上のもの)を、ふんとその周辺に、霧吹きなどでたっぷりと吹きかけ、十分に湿らせます。最低でも五分以上はそのまま放置し、病原菌を無力化させます。ふんが十分に湿ったら、キッチンペーパーや使い捨ての布で、そっとつまみ上げるように拭き取ります。拭き取ったふんと、使用したペーパーは、すぐにビニール袋に入れ、口を固く縛って密閉します。これで終わりではありません。次に、ふんが落ちていた場所を、もう一度、消毒液を染み込ませた新しいペーパーで、徹底的に拭き上げます。これは、目に見えない尿の痕跡なども含めて、完全に消毒するためです。掃除が完了したら、使用したゴム手袋も、外側を内側にするようにして外し、ビニール袋に入れて処分し、最後に石鹸で丁寧に、そして念入りに手を洗いましょう。この一連の正しい手順を踏むことで、ねずみが残した危険な痕跡を、安全かつ確実にリセットすることができるのです。
ねずみのふんを見つけた時の正しい掃除法